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建築学科は大変って本当?建築学科に通う学生による、学部内容と学生生活紹介◎

建築は純粋な芸術でもないし、純粋な技術でもない。
時代の動きを反映した社会的な存在である。
突然ですがこの言葉、これは建築評論家の五十嵐太郎さんが建築に関して述べた言葉です。一見すると芸術や技術の学問分野に属するようにも思われる“建築”ですが、彼は建築を社会の鏡だと述べています。つまり、建築とは限りなく現実に近いものであり、今も昔も建築は社会を映し出す道具のようなものなのです。
このように芸術学、歴史学や社会学と並べられがちであり、理系分野の中では異色を放つ建築学を学ぶ我々建築学生は大学で何を学び、考え、どのような生活を送っているのかについて紹介します。
まずは授業について紹介します。授業の種類は主に設計、講義、パソコン系の3種類に分かれます。

< 設計 >
これは皆さんが建築学科と言ったら第一に思い浮かべるだろう授業です。設計の授業は大抵、製図室や設計室などと呼ばれる部屋で行われます。また、設計は2~3コマ連続で実施されることが多いです。
授業内で完成させる課題もあれば次回の授業までに完成させる課題などもあります。課題が出されたときは放課後に設計室に残って作業をしたり、家に課題を持ち帰って作業することが多いです。ちなみに設計の授業での課題は図面や模型が多いです。設計課題は先生にエスキス(添削)してもらいながら進めていきます。(※先生から自分の作品の製作方針や構想にアドバイスをもらうことをエスキスと言います。)
< 講義 >
講義の種類には計画・設計分野、構造分野、環境分野、材料・防災分野についての講義が開講されます。各々の分野で学ぶ詳細について説明していきます。
■計画・設計分野
建築や環境に対するニーズを分析・整理し、どのような建築を造るのかの基本構想を練り、基本的計画をまとめ、建築についての専門知識や技術を用いて建築を具体化します。また、建物の歴史や保全に関する調査分析を通して、建築のデザインの価値を検証します。
■構造分野
建物には人や物などの荷重のほか、地震や風の力が作用しますが、建築はこれらの力を安全に受けとめなければなりません。建築構造とは建物に加わるもろもろの力を安全に受けとめる柱・梁・壁などの骨組みを、力学や技術を用いて合理的・経済的に造り出すことです。
■環境分野
住宅・オフィス・劇場など建築の目的に応じ、いかに熱・光・音・空気などの状態・挙動を計画・設計し快適な空間を創るかを探ります。生理・心理、地球環境への配慮も不可欠な奥の深いテーマです。
■材料・防災分野
建築物は、構造材料や内装材料など、いろいろな材料によって造られています。この分野は材料の強さや安全性を研究する材料分野と建築火災による被害を防止するための対策を研究する防火分野からなっています。
< パソコン系 >
パソコン系の授業には建築系ソフトのCADを使った授業やREVITを使った授業がメインになります。大学1、2年生の時は主にこれらの操作方法を学びますが3、4年生になってくるとこれらの建築ソフトを用いて実際に自分達で建物を設計していきます。パソコンで図面を描いたり設計できるようになってくると圧倒的に作業効率が良くなります。

次に、建築学生が送る大学生活について少しだけ紹介します。建築学科というと多忙な日々を送るブラック学科として有名です。実際のところはどうなのかと言いますと・・・評判通りの学科です。
設計課題は一作品あたり大体1.5か月かけて作ります。1.5か月の期間、毎週自分の考えをラフや図面、模型などにまとめてエスキスに臨みます。もちろんほかの座学の授業で出されるレポートやテスト勉強と平行しながらです。
これが建築学生の生活を忙しくしている主な理由です。人によってはコンペ(建築物の設計依頼にあたって複数の個人または法人の設計事務所から設計案を募集し、その中から最も優れた者を選ぶこと)に取り組む人も居り、忙しさに拍車がかかります。ちなみに、大学の設計のための部屋は365日24時間空いているということが多いです。(寝袋必須の生活が強いられます。。。)
ここまで建築学生の多忙ぶりを淡々と紹介しましたが、作品を作り上げた時にはこの忙しさや苦労がすべて吹っ飛ぶほどの達成感を味わえます。ここが建築の一番の見どころとも言えます。たとえ何日徹夜することになっても、新しいものを作り上げるという製作活動は楽しいものでやりがいがあるものなのです!!
いかがでしたか?建築学科に通う現役生からの学部内容と学生生活の紹介でした!建築学科といえば大変、というイメージでしたが、そのままのようです・・・!建築を学びたい人は、覚悟を持って臨む必要がありますね。その分、目的意識を持って取り組んでいる学生さんが多く、充実した学生生活が送れると思います。大学・研究室によって、教授の得意分野や施設・設備の特徴が異なるので、よく調べた上でオープンキャンパスで話を聞いてみると良いと思います。
進路について悩んでいる人は、CoABLE柏教室にお気軽に学習相談にお越しください^^
