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2022年度入試概況、共通テストの平均点はダウンするも受験生は強気の出願!
2回目となる大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、不正行為や傷害事件など深刻なトラブルに見舞われました。また、平均点は各科目でダウンし、数学ⅠAー19.7点、数学ⅡBー16.9点、国語ー7.3点、日本史Bー11.5点、化学ー10.0点、生物-23.8点となるなど受験生にとって厳しい結果となりました。それでも東京大、京都大などの難関大では志願者数が増えるなど、受験生の強気の出願が目立ちました。また、早稲田大、慶應義塾大、同志社大、立命館大等でも志願者数が増えるなど、私立大入試でも難関大への強気の出願が見られました。現段階では、全ての入試の合格者数が確定していないため、ここでは志願者数の動向で2022年度入試の傾向を概観します。
国公立大はすでに志願者数が確定しており、私立大の志願者動向もある程度見えてきています。河合塾の大学入試情報サイトで公開されている集計データを見ると、受験人口の減少にともない大学志願者の実人数が減少しているにもかかわらず、国公立大、私立大ともに全体の志願者状況は前年比でプラスになっています。国公立大前期日程は100%、後期日程102%、中期日程108%です。私立大は一般方式102%、共通テスト利用方式101%、全体では102%です。(3月11日現在)。
共通テストの平均点ダウンの影響で国公立大の出願が伸び悩むかと思われましたが、結果として前期日程はほぼ昨年並み、後期日程。中期日程は増加しました。特に中期日程は、大阪市立大と大阪府立大を統合した大阪公立大、工学部の影響もあって2000人以上の増加となりました。
一方、私立大学は全体の志願者数が、昨年50万人近く減少した反動もあり、全体で約5万人増加しています。ただし、志願者数が増えているのはもっぱら一般方式で、共通テストを利用した方式は、微増にとどまっています。共通テストの平均点がダウンしたため、自己採点後に出願できる私立大の共通テスト利用方式では、受験生が自身の得点が予想ボーダーラインに届かなかった場合、出願を見合わせたケースが多かったと思われます。難関私立大で共通テスト利用方式の志願者数が減少しているのは主にその理由です。
志願者数の増減から学部系統の人気状況を見ると、国公立大は農学系と薬学系の伸びが目立ちます。方学系は志願者数が増えると予想されていましたが、予想とは異なり減少しました。共通テストの数学などの平均点ダウンによって、法学系から他学部系統に志望変更などが行われたと考えられます。特に難関国公立大の法学部は共通テストで数学が課されており、ボーダーラインも高いため、平均点ダウンの影響を直接受けたと思われます。薬学系は当初予想された通りの志願状況です。農学系は獣医を始めとする学部系統全体で志願者数が増えています。農学系はここ数年人気が下降気味で倍率が低下したため、その反動もあったと見られます。
私立大は法学系が予想通りの人気となっています。理学系、工学系も志願者数が増加しています。理工系は情報系人気と相俟ってここ数年人気が高いのですが、加えて志願者数を大きく伸ばした近畿大、千葉工大の志願状況も影響していると言えます。薬学部は国公立大と同様に人気の学部系統です。事前予想でも薬学系は昨年に続き、高い人気が継続すると見られていました。
一方、志願者数が減少している、いわば不人気の学部系統は文・人文系です。昨年に続き、外国語系は現段階で、人文・社会科学系全体を通じても、最も減少率が高く減少数も多くなっています。そのため、私立の外国語大は多くが志願者数を大きく減らしています。コロナ禍でも多くの大学では留学を再開しつつあり、また、すでに再開している大学もありますが、受験生には十分に情報が伝わっていないのかもしれません。
次回細かく見ていきましょう。