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捕獲されてもエラから脱出、長崎大学が世界で初めてウナギの稚魚の捕食回避行動を発見
絶滅危惧種である二ホンウナギの稚魚が、捕食魚に捕獲されても、捕食魚のエラの隙間から脱出できることが分かりました。
長崎大学と国立研究開発法人水産研究・教育機構の研究者らは、資源量が近年著しく減少している二ホンウナギの捕食回避行動を調べるため、捕食者であるドンコと二ホンウナギの稚魚を同じ水槽に入れ、その攻防を観察する研究を実施してきました。
この研究中、偶然にも捕食魚に食べられたはずの二ホンウナギが水槽内で泳いでいるのを発見しました。「何らかの方法により、捕食魚の口内から抜け出しているのかもしれない」と考え、観察を続けたところ、捕食魚に捕獲されても、半数以上の稚魚がエラの隙間を通って口外に脱出していたことがわかりました。
このような能動的な行動によって捕食者に捕獲された後に生き残る生物は、魚類以外の分類群を含めても非常に珍しいといいます。また、抜け出した28匹の稚魚は、興味深いことに全て尾部から抜け出しており、ウナギが後ろ向きの遊泳を得意とすることに関係する可能性があるとしています。
また、この発見は、ウナギのニョロニョロとした細長い形にも新しい示唆を与えました。細長い形は、狭い隙間の利用と穴掘り行動のために進化したという仮説が挙げられていますが、「捕食者の口内から脱出」が細長い形の進化を促進したという新たな仮説の提唱にもつながりました。
現在、二ホンウナギの資源回復のために全国的に飼育魚の放流が行われています。捕食魚を回避する能力の低い小型の個体は、多くの場合、放流水域に生息する捕食魚に捕食されてしまいますが、本研究成果は、高い放流効果を得るために生き残りやすいウナギを考える上でも役立つことが期待されています。
うなぎは日本の国民食だと私は考えています。安定した供給ができるようになるならとてもありがたいですよね。